story02 オーダーメイドの開発プロジェクト

マナーが向上した。街並も美しくなった。社会課題の解決っておもしろい。

今、自治体から熱い視線を注がれている
『放置自転車管理システム』
放置自転車の取り締まりを目的とした
従来システムとは一体何が違うのか―?

CLIENT:芝園開発株式会社
OUR SERVICE:放置自転車管理システム

「放置自転車を撤去したいんじゃない。
マナーを向上させたいんです。」

そのご相談をいただいたのは、2015年秋のことでした。クライアントは芝園開発株式会社様。駐輪場・駐車場運営や放置自転車対策をメイン事業とし、「マナー環境の創造」を理念に掲げる企業です。

ある自治体の放置自転車対策にあたり、システムを刷新してほしいとのことでした。その経緯について担当者の方に伺ったところ、現行システムの課題が見えてきました。
放置自転車対策に従事するのはシニアの方が中心。街を巡回し、放置禁止区域に停められている自転車があれば、注意喚起の札を付け、それでも放置され続けた自転車は撤去します。こうしたアクションを記録・管理するために、システムが必要になります。ところが、現状の端末はタッチペンで小さな画面に入力しなければならず、操作性に難があるという根本的な問題を抱えていたのです。結局、紙に書いて管理する従来のスタイルに逆戻りしてしまったといいます。

芝園開発様からのご要望は、「もっとカンタンな操作で、シニアの方がスムーズに使えるシステムにしてほしい」というもの。加えて、「従事するシニアの方も、自転車に乗る住民の方も、街全体も幸せになる仕組みづくりがしたい」とのこと。「私たちは本来、放置自転車を取り締まりたいんじゃない。街のマナーを向上させたいんです。」

まだ世の中に存在しない
システムへの挑戦。

本プロジェクトの責任者である高山は、開発のポイントを次のように整理しました。

  • 直観的なインターフェースとガイド機能により、従事者の方がストレスなく使えるようにする。
  • GPS、コメント、写真などを駆使することで、情報の収集対象を放置自転車以外にも拡大。街の美化につなげる。
  • 収集した情報をリアルタイムで本部とシェアし、行政がすぐに対策を打てるようにする。
  • 巡回距離や声がけ件数なども記録することで、従事者をきちんと評価できる仕組みをつくり、生産性を向上させる。

一連の目標をクリアするのは容易なことではありません。なにしろ、そんな要件をクリアしているシステムは、この世のどこにもないからです。「放置自転車を今日は〇台撤去しました」という記録を残すことが中心の従来型のシステムから、大きく脱却しなければならないのです。
実行部隊である佐藤も、開発にあたり苦労した点についてこう振り返ります。「芝園開発様の理念は明確。でも、実際にそれをカタチにするのが難しくて。シニアの方がどんなふうに街を巡回し、どういう場面で声がけするのか。そうした行動に即したシステムにしなければならないので。」

汗を流しながらの検証には、
発見がある。

そこでチームは、徹底的にユーザー目線で開発するにあたり、アジャイル方式を採用。社内で意見を出し合い、まずカタチにする。芝園さんやシニアの方に実際にご使用いただき、レビューを実施。お互いが納得するまで改良を重ねる手法を採りました。

机上の開発にならないよう、本社から恵比寿駅まで歩き、実際にタブレットを操作してみました。夏の暑い時間帯に、汗を流しながらの検証作業は楽じゃありません。でも、ユーザー目線とはそういうこと。「この画面仕様じゃ、次に何を入力すべきかわからないな…。」「写真はどの角度から撮影するとわかりやすいだろう…。」あらゆる観点から検証を重ねました。さらに万全を期すため、導入予定の自治体まで何度も通い、シニアの方に同行させてもらいました。すると案の定、思いがけない意見が次々と挙がってきました。「これじゃ、ボタンが小さくて押しづらいよ。」「晴れの日は、画面に光が反射して見づらい。」ユーザー目線を意識していたとはいえ、やはり認識のズレはあるもの。こうした現場の貴重な意見も吸い上げ、開発を進めていきました。

マナーが向上し、
放置自転車が大幅に減少。

システム導入のインパクトは、想像以上でした。まず、シニアの方による声がけが増えました。「ここに自転車を停めたら、迷惑がかかるんだな」という認識が、街行く人の間に浸透しました。その結果、放置率は20%減少。禁止区域での駐輪を未然に防ぐことに成功したのです。撤去自転車の持ち主から寄せられるクレームも激減。現場写真を撮影しておくことで、なぜ撤去したのかが明白になり、持ち主の方の納得感が増したのです。撤去するシニアの方にとって、若者から「なんで撤去したんだ」と詰め寄られるのは怖いもの。そうした心理的なストレスもなくなりました。さらに、効果は別の面でも。街の安全や景観に関わる事象も、チェック対象に拡大したのです。たとえば、道端に散乱したプランターなどを発見した際、シニアの方がそれを撮影し、状況についてコメント入力。本部から行政に即座に連携され、対策を講じることができるようになったのです。

芝園開発様は、
『攻めのIT経営中小企業百選』
に選出。

こうした目覚ましい功績は、同じ悩みを抱える自治体の間でも大きな話題になりました。放置自転車をいかに撤去するかという従来のゴール設定自体を根本から見直し、マナーの向上や街の景観維持を目指そうという動きが広がっていきました。クライアントの芝園開発様は、独創的な取り組みと社会貢献の大きさを評価され、『攻めのIT経営中小企業百選』に選出。自治体からの引き合いもたくさんもらっているとのこと。プロジェクトは大きな成功を収めました。

現在、高山と佐藤はまた別の自治体の案件について、芝園開発様と取り組んでいます。この成功体験を水平展開するとともに、AIを活用した「放置自転車の予測」機能の搭載も検討中。通常時だけでなく、花火大会などイベント時の対応も視野に入れています。徹底的にユーザーと向き合い、社会に貢献するシステムをつくる。その醍醐味を教えてくれた本プロジェクトは、今後もますます発展させていく予定です。

髙山 和澄

ITサービスソリューション部
副部長
1998年新卒入社

My pleasure is : お客様のお客様まで、幸せにできること

佐藤 武

ITサービスソリューション部
ソリューションエンジニアリング2G 主任
2014年新卒入社

My pleasure is : 今までにないシステムの開発
STORY 01 自社開発製品の導入プロジェクト